
去年の元日に立てた抱負思い出せますか?
私は思い出せませんでした。手帳の最初のページに書いたはずなのですが、2月の終わりには手帳ごと机の引き出しに入っていて、次に開いたのは年末でした。
これは気合の問題ではないと思っています。Nabejanというアプリに実際に書かれた「やりたいこと」5,327件と、そのうち達成された1,500件を数えてみました。すると、原因はやる気ではなくサイズだと分かりました。叶った抱負は中央値13日で終わっていて、1月に書かれるのは一年がかりのものばかりでした。
例文だけ先に見たい人は今年の抱負の例文(分野別・60個)へ。職場や面接で言う一言は、そのあとの節にあります。
抱負とは?目標・目的との違い
抱負とは、心の中に持っている決意や志望のことです。単なる願望と違うのは、「実現させる」と決めている点です。
似た言葉と並べると、役割の違いがはっきりします。
| 言葉 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 目的 | なぜそれをやるのか | 健康に長く働きたい |
| 目標 | どこまで到達するか(測れる) | 体重を5kg減らす |
| 抱負 | どうするかという決意 | 週2回ジムに通うと決めた |
「猫背を直したい」は願望です。「猫背を直す」は目標です。「猫背を直すために、週3回、背筋を鍛える」まで書くと抱負になります。行動が入っているかどうかが境目です。
この違いは、あとで出てくるデータとつながります。行動が書かれていれば、明日やることが決まります。書かれていなければ、手のつけようがありません。
抱負は1つでなくてもいい
「1つに絞れ」とよく言われますが、絞らないほうがうまくいく人もいます。気分によって、手をつけられる抱負は変わります。3つ立てておいて、その月に動けるものを進めるのでも構いません。
ただし数を増やすなら、このあとのサイズの話だけは押さえておくのがおすすめです。サイズを外すと、増やした分だけ「できなかった抱負」が増えます。
【実データ】新年の抱負が続かない理由は、やる気ではなくサイズだった
続きにくいのは本当でした。
Nabejanに書かれた5,327件を月ごとに数えると、1月は極端に多くなります。
| 時期 | 書かれた数 |
|---|---|
| 2024年12月 | 106件 |
| 2025年1月 | 377件(3.6倍) |
| 2025年12月 | 54件 |
| 2026年1月 | 153件(2.8倍) |
2年連続で、前の月の3倍前後が書かれています。年が変わると人は書く。
ところが、そのあとを追うとこうなります。
| いつ書かれたか | いまの達成率 |
|---|---|
| 1月に書いた分 | 23.1% |
| ほかの月に書いた分 | 28.0% |
書かれた数がいちばん多い1月が、達成率はいちばん低いです。
ただし、これは厳密な比較ではありません。書かれた時期が古いほど、達成するまでの猶予が長いので、月ごとの条件が揃っていません。1月だけを3年ぶん並べると、2024年29.0%/2025年18.0%/2026年20.9%で、年によってばらついています。月あたりの件数も150〜380件なので、この差を強く主張するつもりはありません。
それでも全体を通して1月のほうが低く出る傾向は変わりませんでした。低く出る理由は、次の数字に表れています。
なぜそうなるのか ── 叶う抱負は、13日で終わっている
達成された1,500件のうち、書いた日までたどれる1,468件について、かかった日数を数えました。
| 書いてから達成までの日数 | 割合 |
|---|---|
| 当日〜7日 | 41.1% |
| 8〜30日 | 22.4% |
| 1〜3ヶ月 | 20.3% |
| 3〜6ヶ月 | 8.3% |
| 6ヶ月〜1年 | 4.8% |
| 1年以上 | 3.1% |
中央値は13日(半分は13日以内に終わっています)。4割は1週間以内です。
つまり実際に叶っているのは、「今度の週末に行く」くらいの大きさです。ところが1月に書くのは「今年は英語を話せるようになる」「痩せる」といった、一年がかりの抱負ばかりになります。
叶う大きさと、1月に書く大きさがずれています。1月に書かれる抱負は、数字の上でいちばん達成されにくい大きさです。だから続かないように見えます。やる気の問題にされがちですが、最初から一年ぶんの距離があるだけです。
ちなみに、3.1%は1年以上たってから叶っています
1年以上たってから叶ったのは46件でした。いちばん時間がかかった1件は997日後、2年9ヶ月かかっていました。
数としては小さいのですが、私はこの46件がいちばん好きです。書いた本人はたぶん忘れていて、あるとき思い出して、やった。抱負は、年内に終わらなくても消えなくていいのだと思います。
続く抱負にする4つのコツ(データから逆算)
1. 抱負を1つ立てたら、今週できることを1つ足す
これがいちばん効きます。達成の4割が1週間以内に終わっているので、1週間で終わる1件を混ぜておくと、手が動きます。私も「今年は本を読む」とだけ書いて、3月まで1冊も買っていませんでした。
「今年は本を読む」だけだと、締め切りがないので、今日始めなくても間に合ってしまいます。だから永遠に始まりません。「今週、本屋に行って1冊買う」を横に置くと、今週やることが決まります。
大きい抱負を小さくするのではありません。大きい抱負はそのまま残して、小さい行動を足すのがコツです。
2. 「いつか」を1つだけ「近いうち」に動かす
Nabejanでは、書くときに「いつか」と「近いうち」を選べます。実際の内訳はこうでした。
- いつか:65.4%(3,486件)
- 近いうち:34.6%(1,841件)
3分の2が「いつか」のまま置かれています。これはいい状態だと思います。急がなくていいものが、急がない場所に置かれている。
ただ、全部が「いつか」だと一年たっても何も動きません。年の初めにやるのは、すでに書いてあるものから1つだけ「近いうち」に動かすことでいいと思います。新しく100個書かなくても。
3. 誰かに見える場所に書く
手帳の後ろのページに書いた抱負は、誰の目にも触れません。誰にも見えない抱負は、放っておいても平気です。
家族や友達に言っておくと、ある日「あれ、やる?」と聞かれます。この一言があるかないかで、実行できる数はかなり変わります。意志の強さより、この一言のほうが効きます。
4. 年末に「できなかったもの」を消さない
3.1%が1年以上たってから叶っているので、年末に線を引いて消してしまうと、1年以上かけて叶う分を自分で捨てることになります。
できなかったものは、来年のリストに持ち越さず、そのまま置いておくだけでいいです。期限を切り直すと、また「できなかった」が増えるだけなので。
今年の抱負の例文(分野別・60個)
そのまま使える例文を並べます。前半は行動まで入れた形(自分用)です。各分野の最後には、一言で言う形(職場・面接用)を添えました。
並べたのは、どれも大きい側の抱負です。気に入ったものを1つ選んだら、その横に「今週できること」を1行足してください。「週2回ジムに通う」を選んだなら、横に「今週、ジムの見学予約を入れる」と書く。それだけで、さきほどのデータの通りに動きだします。
仕事
- 提案の質を上げるために、毎週10件の見込みリストを作って事前に調べる
- 経営の考え方を知るために、月に2冊ビジネス書を読む
- 視野を広げるために、他業界の人と月1回ランチに行く
- 専門分野を深めるために、毎週1本、論文を読んで要点を書き出す
- 後輩が動きやすくなるように、手順書を3本つくる
- 会議を短くするために、自分が主催するものは必ず議題を先に送る
- 資格を取るために、平日朝30分を勉強に固定する
- 言われる前に動けるように、毎朝10分その日の段取りを書く
- 説明がうまくなるように、報告は結論から書くと決める
- 一言で:「昨年の反省を形にする一年にします」
勉強・自己成長
- 海外旅行で話せるようになるために、オンライン英会話を週3回受ける
- 志望校に入るために、受験まで毎日最低5時間勉強する
- 絵を上達させるために、週1回は模写をする
- 知識を残すために、読んだ本の要点を1冊1ページにまとめる
- 手を止めないために、月1回なにか新しいことを試す
- 字をきれいにするために、毎朝5分だけ書き写す
- 続けるために、勉強の記録を毎日つける
- 話す力をつけるために、月1回は人前で説明する機会をつくる
- 積読を減らすために、新しい本は1冊読み終えてから買う
- 一言で:「今年は、学び直しから始めます」
健康・ダイエット
- 健康診断で引っかからないために、週2回ジムに通う
- 体重を5kg落とすために、夜の間食をやめる
- 朝を軽くするために、朝食をオートミールに置き換える
- 階段で息が上がらないように、ひと駅ぶん歩く
- 寝つきをよくするために、寝る1時間前にスマホを置く
- 肩の痛みをなくすために、毎晩5分ストレッチをする
- お酒を減らすために、週2日は飲まない日をつくる
- 歯を守るために、半年に1回は歯科に行く
- 姿勢を直すために、週3回、背筋と腹筋を鍛える
- 一言で:「体を整えることを後回しにしない一年にします」
お金
- 車を買うために、給料の20%を先に貯金に回す
- 何に使っているか知るために、3ヶ月だけ家計簿をつける
- 固定費を下げるために、契約しているサービスを全部書き出して見直す
- 将来に備えるために、毎月決まった額を積み立てる
- 衝動買いを減らすために、1万円以上は一晩考えてから買う
- 収入を増やすために、月1回は副業の営業をする
- 払いすぎを防ぐために、確定申告の準備を12月に始める
- お金の話ができるように、家族と月1回30分だけ収支を見る
- 後悔しない買い物をするために、ほしいものを1ヶ月リストに置いてから決める
- 一言で:「お金の流れを把握する一年にします」
暮らし・家族
- 家族と話す時間をつくるために、週1回は全員で夕飯を食べる
- 部屋を広く使うために、月に1箱ぶん物を減らす
- 写真を残すために、毎月1回は家族の写真を撮る
- 親と話すために、月2回は電話する
- 朝を穏やかにするために、前の晩に持ち物を用意する
- 喧嘩を減らすために、家事の分担を紙に書いて貼る
- 季節を楽しむために、年4回は季節の行事をやる
- 友達と会うために、年の初めに3人ぶん予定を先に入れる
- 帰る場所を整えるために、週末に1時間だけ片づけの時間をとる
- 一言で:「近くにいる人を大事にする一年にします」
趣味・やってみたいこと
- 行ったことのない県に、年2回行く
- キャンプを始めるために、春までに道具を一式そろえる
- ギターで1曲弾けるようになるために、毎日10分触る
- 朝を気持ちよく始めるために、月1回は朝日を見に出かける
- 料理のレパートリーを増やすために、月2回は新しいレシピを試す
- 本気で応援するために、推しのライブに1回行く
- 星を見るために、夏に灯りの少ない場所へ行く
- 手を動かすために、何かひとつ自分で作る
- 記録を残すために、行った店を書き留める
- 一言で:「やってみたかったことを、今年の宿題にします」
職場・面接で言う「一言」の作りかた
年始の挨拶や面接で求められるのは、自分用の抱負とは別物です。相手が知りたいのは、あなたが今年どう動くかです。だから、言い方には型があります。
「(去年の課題)を踏まえて、今年は(行動)します」
これだけで成立します。
- 「昨年は報告が遅れる場面があったので、今年は結論から先に伝えます」
- 「昨年は一人で抱える癖があったので、今年は早めに相談します」
- 「昨年は数字を追いきれなかったので、今年は週ごとに振り返ります」
逆に、こういう言い方は印象に残りません。
- 大きすぎる言葉だけ(「飛躍の一年にします」)── 何をするかが伝わりません
- 四字熟語を置いて終わる(「初志貫徹」)── 使うなら、そのあとに行動を1つ足してください
- 他人まかせ(「チームが成長する一年に」)── 自分が何をするかを言うほうが伝わります
よくある質問
抱負と目標はどう違いますか
目標は「どこまで到達するか」で、抱負は「どうするかという決意」です。「体重を5kg減らす」が目標、「週2回ジムに通うと決めた」が抱負にあたります。行動が入っているかどうかが境目です。
抱負はいくつ立てるのがいいですか
数に正解はありません。ただ、書いた抱負の達成率を見ると、大きいものだけを並べた状態がいちばん動きません。数を増やすなら、1週間で終わるものを混ぜてください。達成された4割は1週間以内に終わっています。
新年の抱負はなぜ続かないのですか
実データを見ると、やる気ではなくサイズの問題でした。達成された抱負の中央値は13日ですが、1月に書かれるのは一年がかりのものが多く、いちばん達成されにくい大きさで書かれています。1月に書かれたものの達成率は23.1%で、他の月(28.0%)より低く出ました。
途中でやめてしまった抱負はどうすればいいですか
消さずに置いておくのがおすすめです。1年以上たってから達成された抱負が3.1%あり、いちばん時間がかかった1件は997日後でした。期限を切り直すより、そのまま残しておくほうが叶う可能性は残ります。
抱負はいつ立てるのがいいですか
元日でなくても構いません。誕生日、年度の始まり、引っ越したとき。節目であれば、目の前のことから少し距離が取れるので、元日と同じように働くと思います。むしろ1月を外すと、まわりが一斉にやめていく空気に巻き込まれずに済むかもしれません。
一年で終わらせないための置き場所
最後に、この記事のデータを取ったアプリの話を少しだけ書きます。私が作っているNabejanという、やりたいことを書いて記録していくアプリです。
この記事で書いたことを、そのまま形にしてあります。
- 「いつか」と「近いうち」で置き分けられる(全部に期限を切らなくていい)
- 達成したら写真とコメントを残せる。消えないので、年末に振り返れる
- 家族や友達を誘って、同じことを一緒にやれる
- フォロワー数もいいね数もランキングも表示されません。人と比べる場所ではないので
正直に弱点も書きます。細かい進捗をパーセントで管理したい人には向きません。日付ごとのタスク管理もできません。「今年の抱負を1つ決めて、毎日チェックを付けたい」という使い方なら、習慣化アプリのほうが確実に便利です。
Nabejanが向いているのは、一年で区切らずに、やりたいことをずっと足していきたい人です。1年以上たってから叶うものがあるのは、期限で消されなかったからだと思っています。
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2月に忘れても、そんなに悪くない
抱負の話から始めましたが、一年という区切りは、あとから付けたものです。やりたいことのほうが先にあって、たまたま1月に思い出しただけ。だから2月に忘れても、そんなに悪いことではないと思っています。997日かかった1件が、ちゃんと叶っているので。

Nabejanとは 
