
付き合ったり結婚してしばらく経つと、ふたりの会話が手続きの話ばかりになってきます。何時に帰る、誰が迎えに行く、来月のあれ払った。
どれも必要な話です。必要なんですが、ある日ふと、それしか話していないことに気づく。
べつに事件は起きていません。べつに仲が悪いわけではなくて、単に生活を回すために処理しなければいけない項目が多すぎて、それ以外のことを話す枠が一日のどこにも残っていない、というだけの話だと思います。
そこに、話す必要のないことを100個ぶん持ち込む。この記事はそのやりかたです。
家事のリストと、やりたいことのリストは分けたほうがいい
最初に、いちばん大事なことを。
夫婦でリストを共有しようとすると、多くの人が買い物リストや家事分担と同じ場所に置きます。共有アプリの大半がその用途で作られているので、自然な流れではあります。
けれど、これはたぶんうまくいきません。
理由は単純で、やることとやりたいことは性質が逆だからです。牛乳を買う、ゴミを出す、保育園の書類を出す。これらは今日やらないと困る。一方「いつか温泉に泊まる」は、今日やらなくても誰も困りません。
同じ場所に並べれば、締め切りのあるほうが必ず勝ちます。やりたいことは家事の下に沈んで、そのまま浮いてきません。
なので、分けます。たったそれだけのことなのに、リストが半年後も生きているかどうかは、書いた中身よりもこの一点で決まります。
夫婦で作るときの進めかた
まず別々に書いて、あとで持ち寄る
ここが友達やカップルと違うところです。
最初から一緒に書かない。
夫婦は生活が近すぎます。
一緒に書きはじめると、たいていどちらか声の大きいほうに寄って、もう片方は「まあそれでいいよ」と合わせて、本人もそれが妥協だと自覚しないまま、気づけば片方の願望リストが出来上がっている。悪気がないので、あとから修正もされません。
先にそれぞれ30個ずつ、ひとりで書く。そのあと持ち寄って並べる。この順番だと、相手が何を考えていたのかが見えて、そこが一番おもしろかったりします。
重なったものから先にやる
持ち寄ると、必ずいくつか同じことが書いてあります。何年も口に出していなかったのに、ふたりとも同じ場所に行きたかった、ということが起きる。
そこから手を付けてください。
合意ができているぶん、いちばん実行しやすい。それに、何年も黙って同じことを思っていたと分かるのは、単純にうれしいです。
片方だけがやりたいことも、消さない
重ならなかったものを削りたくなりますが、残しておくほうがいいです。相手が何をやりたいと思っているかを知っていること自体に意味があります。
【例文100】夫婦で叶えたいこと
全部を使わなくて大丈夫です。ピンと来たものだけ拾って、あとはご自分の言葉に置き換えてもらえたらと思います。
いまの暮らしの中で(20)
- 週に一度、ふたりで晩酌する
- 休みの日の朝、どちらかが朝食を作る
- 夕方に20分だけ、一緒に歩く
- 月に一度、外で食事する日を決める
- 寝る前に、その日あったことを3分だけ話す
- お互いの仕事の話を、ちゃんと聞く日をつくる
- 同じドラマを、同じ時間に見る
- 一緒に健康診断に行く
- 家計のことを、年に一度ちゃんと話す
- スマホを見ない夜を、月に一度つくる
- 相手の好きな音楽をひとつ覚える
- 図書館で、それぞれ好きな棚を見る
- 近所の、入ったことのない店に入る
- 「ありがとう」を口に出して言う
- 一緒に早起きして、朝の時間を過ごす
- 相手の趣味に、一度だけ付き合ってみる
- 家事の担当を、一度入れ替えてみる
- ふたりでラジオ体操をする
- 本屋で、相手に一冊選んでもらう
- 何もしない休日を、罪悪感なく過ごす
おでかけ・旅(20)
- 何も予定を入れない一泊をする
- 子どもを預けて、ふたりだけで出かける
- 新婚旅行の場所に、もう一度行く
- お互いの実家に、ゆっくり帰る
- 車で日帰りできる範囲を、少しずつ制覇する
- 乗り継ぎのある国まで、行ってみる
- 行ったことのない県に行く
- 旅館で、何もしない2日間を過ごす
- 高原でキャンプする
- 紅葉が終わりかけの、空いている時期に行く
- 初日の出を見に行く
- 毎年ちがう場所に、桜を見に行く
- のんびり電車旅をする
- 地元の、小さいほうの祭りに行く
- 平日の美術館に、ふたりで行く
- ルールを知らない競技を、観に行く
- ライブやコンサートに行く
- ふたりの思い出の場所を巡る
- 住んでいた街を、もう一度歩く
- 泊まってみたかった宿に泊まる
食べる・つくる(15)
- どちらかが作るのを、もう片方が横で見る
- 相手の得意料理を教わる
- 締めまでちゃんとやる鍋をする
- ふたりでパンを焼く
- 梅酒か梅干しを仕込む
- 味噌かぬか漬けを仕込む
- 記念日に、少し背伸びした店に行く
- 月に一度、お取り寄せを楽しむ
- コーヒーかお茶に、こだわってみる
- 家庭菜園で育てた野菜を食べる
- ふたりのレシピをまとめる
- 相手の実家の味を再現する
- お弁当を作って、外で食べる
- 季節の果物を、その季節に必ず食べる
- お酒を一種類、詳しくなってみる
家のこと(15)
- 音楽をかけながら、大掃除をする
- 使っていないものを、ふたりで手放す
- 部屋の模様替えをする
- 家具をひとつ、ちゃんと選んで買う
- 枯らさずに、観葉植物を1年育てる
- 写真を飾る場所をつくる
- ふたりの本棚をつくる
- 寝具をいいものに変える
- 玄関に季節のものを飾る
- ベランダを居心地よくする
- 防災の備えを、一緒に確認する
- 保険や契約を、一度ふたりで見直す
- 家族写真を毎年1枚、同じ場所で撮る
- 一緒に何かを作る(棚でも、箱でも)
- いつか住みたい家の話をする
記念日・節目(15)
- 結婚記念日を、毎年ちがう形で祝う
- お互いの誕生日に、手紙を書く
- 出会った日に、当時の話をする
- 結婚式の写真を、久しぶりに見返す
- 一緒に撮った写真でアルバムを作る
- 銀婚式を、いまから楽しみにする
- 節目の年に、ふたりで写真を撮る
- お互いの親に、感謝を伝える機会をつくる
- 年末に、その年のベスト3を発表し合う
- 元日に、その年にやりたいことを書き出す
- 引っ越しや転職のときは、ちゃんと祝う
- 何でもない日に、相手をねぎらう
- 10年後の自分たちに手紙を書く
- ふたりの年表を作る
- これまでの旅を、地図に記していく
少し先の話(15)
- 定年後にやりたいことを、いまのうちに話す
- 住んでみたい街を、下見に行く
- 田舎暮らしを、一度試してみる
- 長めの休みを取って、ひと月どこかに滞在する
- 一緒に始められる趣味を見つける
- 下手なまま、楽器を続けてみる
- ふたりで資格か語学に挑戦する
- 名前を先に決めてから、犬か猫と暮らす
- いつか車で日本を一周する
- 親のことを、早めに話しておく
- そのあとのことも、暗くならずに話しておく
- 孫ができたらやりたいことを話す
- 老後のお金について、一度ちゃんと調べる
- 70歳になっても行きたい場所を決める
- このリストを、10年後にふたりで見返す
子どもがいる家庭の場合
子どもがいると、リストは自然と「家族でやりたいこと」に寄ります。それも大事なのですが、ふたりだけのリストも別に持っておくことをおすすめします。
子育ての時期は、どうしても夫婦が「親」としてだけ向き合う時間が長くなります。保育園の送り迎えと、寝かしつけの順番と、明日の持ち物の確認を毎日まわしているうちに、相手がもともとどんなことを面白がる人だったのかを、お互いに少しずつ忘れていく。
ふたりだけのリストは、そこから戻ってくるための入口になります。
現実的には、家族のリストと夫婦のリストを分けて、夫婦のほうにはいま絶対にできないものも遠慮なく書いておく。書いてあること自体に意味があります。
どこに置いておくか
冒頭に書いたとおり、家事や買い物とは別の場所に置くのが前提です。
そのうえでどれを選ぶかは、ふたりが毎日顔を合わせているか、何個くらい書くつもりか、そして何年か先に見返したいと思っているか、この3つでだいたい決まります。紙・LINE・スプレッドシート・アプリの4つを弱点まで含めて比べたものを やりたいことリストを人と共有する4つの方法 にまとめました。
続けるために
予定表に入れないと、消える
夫婦の場合、これが一番大きいです。
友達との約束は、日にちを決めないと成立しません。ところが夫婦は毎日一緒にいるので、いつでもできる気がしてしまう。その「いつでもできる」がくせもので、結局いつまでもやらないまま、気づけば「そのうち温泉行こうね」を5年くらい言い続けている家庭ができあがります。
対策はひとつだけです。
やると決めたものは、その場でカレンダーに入れる。 宿を取るところまでやれば、もっと確実。
「次にやる1つ」だけ決めておく
100個を眺めても動けません。次の休みにやる1つだけ決める。済んだら、また1つ。派手さはないですが、これが効きます。
数を目標にしない
「今年中に20個」は立てないほうがいいです。リストが家事に似てきたら本末転倒なので。
やったことを記録に残す
チェックを消すだけだと、あとに何も残りません。写真が1枚あるだけで、10年後の見返しかたが変わります。夫婦の場合、これが一番あとから効いてくるものだと思っています。
今日できること
ここまで読んで「今度ふたりで書こう」と思ったなら、それはだいたいやりません。自分がそうなので分かります。
なので提案です。今日、自分のぶんだけ10個書いてみてください。 相手に言わなくていいです。書けたら、それを見せる。
「一緒に書こう」と誘うより、書いたものを見せるほうが早い。
完成品を見せられると、人は案外「じゃあ自分も」となります。
私が作っているアプリの話
最後に、自分のアプリの話をさせてください。
Nabejan(ナベジャン)という、やりたいことを書いて一緒にやるためのアプリを作っています。買い物リストも家事分担も入れていません。 この記事で書いた「分けたほうがいい」を、そのまま形にしたようなものです。
夫婦で使うとどうなるか、自分に起きたことを書きます。
私は「お抹茶を家で飲みたいので、ちゃせんを買いたい」というのをアプリに入れていました。誕生日に出かけた先でお茶屋さんを探したのですが、結局見つからなくて諦めて帰ったんです。
そうしたら家に、夫が用意してくれた抹茶道具のセットがありました。
アプリに入れていたのを見て、先に探しておいてくれたらしいです。私はその日、自分が何を探しに行ったかを本人に一言も話していませんでした。
自分が諦めたやりたいことを、相手が覚えていてくれた。
うれしかったです。
「何が欲しい?」と聞かれて「べつに」としか答えられない人は、たぶん欲しいものがないのではなくて、聞かれた瞬間に思い出せないだけだと思います。書いてあれば、聞かなくても伝わります。
- やりたいことに相手を誘えます。声をかけるところまでアプリの中でできます
- 達成した記録が写真つきで残ります。消えずに積み上がります
- 夫婦でも、子どもとでも、友達とでも、同じ1つのリストで使えます
- やりたいことごとに公開・非公開を選べます。見せたくないものは伏せておけます
難点は、連れ合いにも入れてもらわないと本領が出ないことです。家事アプリのように毎日開くものでもないので、そこは一手間だと思います。無料です。
App Store でダウンロード / Google Play でダウンロード
よくある質問
相手が乗ってくれません
よくあると思います。誘う前に、まず自分のぶんを書いて見せるのがいちばん早いです。最初から「一緒に書こう」と言うと、だいたい構えられます。
お金のかかることばかりになってしまいます
旅行や外食から書き始めると、どうしてもそうなります。「いまの暮らしの中で」を先に埋めると釣り合います。この記事の例文も、その順番で並べました。
何年も放置してしまいました
むしろ、そこからが面白いところです。
久しぶりに見返して、いくつ叶っていたか数えてみてください。 書いたことすら忘れていたのに、いつのまにか叶っていたものが、だいたい何個かあります。
そして、100個のうちひとつでも実行できた日は、その日だけは手続きの話をしないで済みます。このリストの役目は、たぶんそれくらいのことです。
家族全員のリストにしたほうがいいですか
分けるほうがいいと思います。各自が自分のリストを持っていて、一緒にやれるものだけ誘い合う形のほうが、全員で1つを持つよりうまくいきます。
あわせて読みたい
- やりたいことリストを人と共有する4つの方法 ── 紙・LINE・スプレッドシート・アプリを弱点まで含めて比べました
- 友達と「一緒にしたいこと100」をつくる ── 例文100個と進めかた
- 恋人と一緒にしたいこと100 ── 10ジャンル別の例文100個

Nabejanとは 
